母について
こんにちは、花です。
こちらはすっかり雨季に突入し、毎日温かいコートと傘が手放せません。
先日は母の命日でした。母が亡くなったのはもう5年も前のことなので、命日だからといって、いつもはしんみりしたりしないのですが、今年の命日の夜はすごく泣いてしまいました。
最近気持ちが感傷的だからか、母のことをよく考えます。
母の夢を見て自分の嗚咽の声にびっくりして目を覚ますこともありました。
大好きなお母さんが亡くなったのだから、何年も悲しんで当然。
これを読んだ方はそう思うかもしれません。
だけど私の母への思いはすごく複雑なものでした。
幼い頃は母のことが本当に大好きだったと思います。とても愛情をもって育ててもらいました。気分に波のある母の機嫌をいつも覗っていましたが、子どもってみんなそうだと思っていました。祖母との関係にイライラし、理不尽に私や妹が怒りの対象になることもありましたが、いつも私たちは母の味方でした。
しかし大人になるにつれて、母に対する疑問が大きくなっていきました。
友達といる時間や行動範囲を制限される。反発するとトイレに駆け込んで吐き、寝込んでしまう。
そういう態度をとられてしまうと、母の言うとおりにせざるを得ませんでした。本当に自分が悪いのだろうかと思いながら、謝るしかなかったことも少なくありません。
これはまともな親子関係とは少し違うのではないか。子どもながらに薄々思っていました。
なぜそんなに母の言いなりなのかと、友人に指摘されたことがありました。大学生のときでした。みんなで旅行しようということになったのですが、母に反対されたので私は断ったのです。
「もう大学生なのになぜお母さんの言うことをいつもきくの?自分の人生なんだよ?」
旅行に行けないことは正直つらくありませんでした。友人と旅行する楽しさを知らなかったのですから、当たり前かもしれません。
それより友人に説明しても理解してもらえないことが苦しかったですし、その苦しさを母は想像もできないのだと思うと悲しかったです。
(ちなみに自分の人生は自分のものだということは、母から離れて初めて気が付きました。)
しかし母を責めるのことはできませんでした。
母は、実の親に捨てられ(母の言葉によれば)、育ての親に虐待を受けて育った子どもでした。まともな愛情、教育を知らないんだ。母は被害者なんだ。かわいそうな人なんだ。ずっとそう思ってきました。
母のそばにいることは、この家に生まれてきた子どもの義務なんだ。そう自分に言い聞かせていました。
「自分は幸せじゃないから早く死にたい」「本当は中学生のころから自殺したかった」
ときどき私たちにこう話すことがありました。母親からこんなことを言われたら、子どもとしては胸が苦しかったのをよく覚えています。
しかし死にたいなんて、本心ではなかったことを後に知ることになりました。きっと「そんなこと言わないで」と言ってほしかっただけなのでしょう。
今から6年前、母の身体にガンが見つかりました。病院が大嫌いだった母。おかしいなと思って病院に行ったときは、ガンはかなり大きくなっていたのです。
その年大きな手術をしたのですが、放射線治療は絶対にしたくないと拒否し、翌年すぐに再発してしまいました。
放射線治療を拒んだことを、きっと後悔していたと思います。
もっと生きたかったと思います。死を待つのは怖かったと思います。
正直亡くなった後はほっとしてしまいました。もう母が苦しんだり怖がったりしている姿を見ずに済むのですから。
もうつらい期間はとっくに過ぎたと、思っているのですが。
未だに自分の中にある母の存在が、あまりにも多いことに本当に驚かされます。
「いつまでも母は自分の中に生き続け、見守ってくれている」
なんて温かいものではありません。
生きているときに感じていた、母との関係性の中にあるモヤモヤした気持ち。
ガンが見つかってから亡くなるまで、苦しむ母を支えなければいけなかったトラウマ。
そして母親を失った孤独感。
実をいうと母には悪いですが、私は母のことを毒親だと思っていましたから、母が亡くなった後、解放された気持ちにもなりました。もちろん家族を失ったことは本当に悲しかったですし、苦しむ母を見て代わってあげられたらどんなにいいだろうと感じたのも事実です。
しかしそれと同時に私は、母親の鎖から20代半ばにしてようやく解放された気持ちになっていました。そこで初めて、自分のことはすべて自分で決めていいし、自分のために生きていいのだ、自分の人生は自分だけのものだ、ということに気が付いたのです。
だけど今でも母のことを思い出すとつらいし、私がこんなに自己肯定感が低いのも、幸せじゃないのも、全部母のせいじゃないかと思ってしまうことがあります。
そして。
最近になってようやく気付いたこと。
私は母のせいで苦しい思いをしてきたし、今だって苦しんでる。
だけど。
それでも母が恋しい。
亡くなってしばらくは、、、というか最近までは、恨む気持ちのほうが強かったのですが(笑)
無条件で私のことを好きでいてくれる人
いつでも私のことを気にかけてくれる人は、母だけでした。
母が亡くなった後は、そんな人この世のどこにもいません。
今年の命日は、どうして私を置いていったの。おかげで私は今一人ぼっちでこんなに苦しいよ。
と、結局母を責めまくり(笑)
本当は、もう許してあげたいし、素直に感謝してあげたいのですが。
まだまだ時間がかかりそうです。
生きているときだって難しいのですから、すでに亡くなっている人との和解はもっと難しいのかもしれませんね。
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